日本語OPI研究会

第37回定例会(2000.12.10)研究発表

プレースメントテストにおけるOPIと日本語能力試験結果の分析

横山 紀子

日本語国際センターでは、1997年度から非母語話者日本語教師を招いての短期研修のプレースメントテストにOPIを導入しており、現在約450人分のOPIテープとその判定結果を蓄積している。ただし、それらのOPIデータについて、本来正式判定のために必要とされている第2テスターによる判定は行っておらず、これらのデータを分析するに当たり、そのことが研究上の障害となってきた。そこで、1999~2000年度にかけて、これらのOPIデータの一部について第2テスターによる再判定を行い、OPIと同じくプレースメントテストとして実施している日本語能力試験の結果とも併せて分析を行うことにした。ここでは、再判定を経た結果の一部を報告する。

 OPIテープの再判定は、対象レベルをIntermediate High(以下I-H)、Advanced(以下Adv.)、Advanced High(以下A-H)、Superior(以下Sup.)に絞り、インタビューを行った第1テスターの意向により、次の三つのうちいずれかの方法で行った。(1)ACTFL本部によるInstitutional Upgrade Programに委託、(2)OPI研究会会員に委託、(3)日本語国際センター専任講師のうちOPIテスター資格を持つ者による再判定。なお、Advancedレベルに関しては99年より三つのサブレベルが規定されているが、今回の研究プロジェクトでは、第1テスターによるインタビュー時にはその規定がなかったこと、再判定を開始した時点で新基準がまだ周知徹底されていなかったことなどから旧基準による二レベルで判定を行った。
再判定を行ったテープのうち、unratableとされたものや第1判定と比べてサブレベル2つ以上の異同があったものを除き、判定が確定できたものが62本あり、そのレベル別人数は【表1】の通りである。また、被験者である研修生の国別人数は【表2】の通りである。さらに、日本語能力試験(以下、日能試)2級および3級の結果と併せて分布を示したのが【グラフ1】と【グラフ2】である。以下に、これらの結果から読みとれる要点を記す。

 

 

【表1】OPIレベル別人数

OPI
人数
Sup.
8
A-H
21
Adv.
24
I-H
9
合計
62

【表2】国別研修生数

 
合計
韓国
10
ブラジル
9
ロシア
6
オーストラリア
5
インド
4
米国
4
マレーシア
3
カナダ
2
タイ
2
ネパール
2
ベトナム
2
モンゴル
2
その他
11
計23カ国
62

(1)OPI判定と日能試合格ラインとの関係に注目すると、Adv.以上は全員が3級に合格、I-Hもほぼ全員が合格するレベルである。また、A-H以上は全員が2級に合格する。

(2)Adv.およびI-Hの2級結果は、かなり拡散している。A-H以上の2級結果がまとまった分布を示している事実と対照させると、Adv.の学習者がA-Hに上がっていくためには、2級レベルの語彙や文法の力が必要であることが窺える。

(3)OPIの判定結果からそのレベルの学習者の日能試結果を予測することは、上記(1)に記した通りある程度可能である。一方、日能試結果からOPI判定の予測を試みると、例えば「3級に合格しない学習者はI-H以下である」「2級に合格しない学習者はAdv.以下である」等の予測は可能だが、例えば、2級で80%以上の結果である学習者のOPIは、I-HからSup.までの各レベルに分布しており、単純な予測は成立しない。

今後、さらにデータを増やし、分析を進めていきたい。

 最後に、この研究は、日本語国際センター・調査研究部会のプロジェクトとして、木田真理、久保田美子と共に行ったものをOPI研究会では横山が代表して発表したものであることを付記しておく。