日本語OPI研究会

第36回定例会(2000.7.9) 講演レポート

超級レベルにおける判定について

牧野成一トレーナー

A)「超級」レベルの判定の仕方について

 上級以下のレベルでは、上位レベルへの突出がどのくらいあるか、という観点で判定を下す。そこで、上位レベルが存在しない「超級」においては、どのように判断をすればよいのだろうか。最も良い方法は、"ガイドラインに戻って考える(=超級の骨組みだけで勝手に肉付けすることなく、常に超級の記述の文に帰れ)"ということである。

 また「超級」で一番難しいのは、インタビューの中でどんな話題が飛びだすか分からないということである。そのため、テスターには幅広い知識が必要である。例えば『アエラ』『タイムズ』等のような論調を持った雑誌に絶えず目を通しておき、社会的な問題に対応できるようにしておかないと、話題についていけない。社会学、政治学など、常識以上に専門的に知っておく必要があり、インタビューにおいてどんな話題が出てきても処理していけるだけの知識を蓄えていくことが大切である。特に「超級」レベルの話者は会話におけるストラテジーを持っているので、なかなか"挫折"をしないものである。そこでテスターとしては、わざと相手の意見に反対してみるなど、反論が出来るようにしておかねばならない。

 「超級」の下位レベルについては、今後、設定される予定であるが、かなり詳しく判定基準を記述しておかなければならないだろう。(例えば、下位レベルの下の方では「慣用句や決まり文句、擬態語等がぴったり使えるかどうか、など。)

B)「超級」におけるフォーマル/インフォーマルの使い分けについて

 インタビューを通して、ほぼ「超級」と思われる場合でも、フォーマル/インフォーマルの使い分けが出来ない場合がある。しかし、ガイドラインではフォーマル/インフォーマルは「超級」には不可欠なもので、使い分けが出来なければ「超級」とは見なされない。どちらか一方しか使えないというのは、やはり日本語の奥までは入っていないのではないだろうか。インフォーマルが出来ないということは、ウチ側では日本人と付き合ってはいないのではないだろうか。

 ロールプレイで、「友達同士で話す」と設定した場合、相手は「です/ます体」で話してしまうことがある。単なる「友達同士」ということではなく「とても親しい友達」というように設定した方が良いのではないだろうか。また、「子供に対して」という設定でも、「他人の子供」「先生の子供」と思ってしまうと"お子さん"という意識になり、必ずしもインフォーマルが出てこない場合がある。(会員から「隣の高校生」だとインフォーマルが出やすい、との報告もあった。)

 「超級」レベルに達していると思われるのに、インフォーマルだけが出来なかった人に対しては、OPI終了後、インタビューしてみるとよい。その答えによって、彼らがどのようなときにインフォーマルを使うと判断するのか、探ることが出来るだろう。そのように、会員同士で情報を集め、インフォーマルを導き出す有効なロールプレイはどのようなものか、研究を進めてみるのも良いだろう。

 他に研究のテーマとしては、「超級ではどれくらい慣用表現(複合動詞や『せめて』などの副詞でもよいだろう)が出てくるか」など、ある程度の量的なデータを集めることができれば、従来、直感的にやっていた判断をサポートするものになりうると思われる。調査の結果、絶対に「超級」にしか出てこないもの、マーカーとなりうるものが見つかれば、今後の判断の指針となるのではないだろうか。

C)その他

 (「どうしても30分以内で終わらなくてはならないのか」という質問に対して…)例えばインタビューが32分で終わるのであれば、30分にも出来るはずではないだろうか。30分を少しくらい越えてもよいとなると、際限がなくなってしまうだろう。