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エディンバラOPIシンポジウムの報告3

研究発表に関する報告

レポーター 水本 光美

 シンポジウム第2日目午前中には、英国、米国、韓国の諸外国をはじめ、東京や関西から、合計6組のOPI研究会代表者による研究発表が行われた。

 まず最初に、主催元であるエジンバラ大学の松本−スタート氏により、『OPI日本語学習者発話コーパス構築に向けて』と題し、OPIコーパスの特徴と電子化発話コーパス設計上の理論的実践的問題点を、ディスコース分析やコーパス言語学など様々な方面より考察しつつ、OPI日本語学習者発話コーパス構築に向けて、その可能性が検討された。

 後の5組のうち3組はOPIの会話分析による研究で、関西OPIグループ(奥野、金澤、宮瀬、山本)による『OPI発話データにおける「テキストの型」―「節」を発達指標とした数量分析』では、初級、中級の学習者が会話能力を上達させる過程で、発話の中で使用される節や複文節率が増加してゆけば、OPIの上位判定に正比例するとの調査分析結果が報告された。東京からの日本語OPI研究会ガイドライン班(荻原、伊藤、齊藤)による、『日本語OPIに見られるストラテジーの使用について』は、母語話者を含めた初級から超級までのOPIデータを、大きく、A.コミュニケーション・ストラテジー(下位分類5種:言語能力の不備や、発話プロセスにおいて生じた困難を補うため)とB. コミュニケーション・スキル(下位分類5種:より円滑で自然な意図伝達のため)の2タイプのストラテジーに分け、下位分類で合計全10種のストラテジーについて、その使用特徴を探った。また、韓国OPI(桜井、斎藤、菊竹、稲熊、呉)グループによる発表『中級・上級・超級学習者の使用語彙の分析』では、日本語能力試験4級から1級までの語彙出題基準とOPIの各レベルでの使用語彙との関連性について調査し、中級から上級のレベルでは2級抽象的漢語が増え始めることを報告、上級話者に上がるためには、2級の漢語語彙数を増やすことが鍵であると分析した。

 残る2組の発表のうち、まず、山内トレーナーによる発表は、『OPIにおける「文」の分析ー判定基準の客観化・簡易化に向けてー』というテーマで論じ、中級から超級までのレベルを決定する可能性のある形態素(i.e., 「あの(連体詞)、あのー(フィラー)」などは中級以上、「だ(助動詞)、よ(終助詞)」は上級以上、「こう(副詞)、(っ)ていう(複合格助詞)」などは超級以上)を提示した。また、米国の岩崎氏と渡辺トレーナーによる発表『OPIにおける”議論”について』は、グループディスカッションにおける日本人学生とアメリカ人学生の意見叙述の仕方について比較した上で、議論構成は日本的でも欧米的でも、日本人が納得いく議論なら「うまく構成されたもの」として認め、将来的には、「国際社会で運用する日本人にも日本語非母語話者にも分かりやすい意見明示の仕方」の方を高く評価すべきか検討してはどうかという提案がなされた。

 以上のように、どの発表も我々OPIに関わる日本語教育関係者にとっては興味深い内容の濃い発表で、会場からは、それぞれの発表に対して積極的なコメントや質問などが出され、大変有意義な議論が展開した。