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エディンバラOPIシンポジウムの報告4

エディンバラOPIシンポジウムに参加して

レポーター 奥村 圭子
(英国サンダーランド大学教育学部/ヨーロッパ日本語教師会)

 2002年8月28、29両日にエディンバラ国際フェスティバルで賑わうスコットランドの首都にあるエディンバラ大学で、日本とアメリカからACTFLの役員一名、日本語のOPIトレーナーとして活躍なさっている先生方6名を迎えて、エディンバラOPIシンポジウムが開催されました。欧州では初めての日本語OPI集会でしたが、世界各地からテスター、テスターの卵、OPIに興味を持つ方の計83名が参加し、日本語OPI十周年記念集会に次ぐ規模で行われました。OPIに魅了されてかれこれ5、6年のテスター卵組の私も、自分のインタビュー技術の向上と日頃の日本語教育へのOPI利用のヒントを得たい、という願いで参加致しました。

 OPIトレーニングを受けていない参加者が4分の1を占めていたため、1日目はOPIの紹介、トレーナーによる英語と日本語でのOPIデモンストレーションを中心にしたファミリアライゼーション・ワークショップで始まりました。目の前で実際に繰り広げられる発話に注意しながら、インタビューの構成の仕方、同じレベルでいかに話題を豊富にしていくのか、一つの話題の中でいかにらせん状にレベルを上げて繋げていくのかを示唆する、聞き上手のスムーズなインタビューに思わず見入ってしまいました。続いて午後前半は、ビデオに撮られた二つのインタビュー発表をもとに、参加者全員で判定を試みました。判定基準に照らし合わせながら、自分なりの判定を周りの方とも比較し、インタビューした方の質問の意図やご意見を具体的に聞けたのは、非常に有意義でした。こういった活動を実際に地域でやっていくことが、これからOPIテスター資格取得を考える私たちには必要だと痛感しました。

 後半は、アメリカと日本で活躍中のOPIトレーナー6名とACTFLの役員であるSwender氏が一堂に会してのパネル・セッションで、テーマは「技術と応用」で、色々な側面からインタビューで活かせる技術や注意すべき点が数多く紹介されたあと、フロアも共に質疑応答となり、活発な意見交換がされました。

 さて2日目は、OPIで得たデータを使った研究が6組によって発表されました。日本語学習者のOPIコーパス構築に向けてその可能性を探るもの、OPIデータを会話分析したもの、OPIにおける文の分析をもとにしたレベル決定に役立つ形態素の研究、OPIにおける議論に着目したものが発表され、OPIで得られたデータをもとにした第二言語習得を中心とした日本語教育研究の多方面に渡る可能性が認識できました。

 午後は、1日目に続き、日本語OPIトレーナー6名によるパネル・セッションでしたが、超級、上級、中級、初級の主要レベルの境界線と各主要レベルの下位レベルの境界線は大きく違うことや、隣接レベルの判定のためにレベルを一つ超えた突き上げも実施可能であることが提唱されたあと、参加者から出ていたロールプレイや文化についてなどのさまざまな質問に答える形で、後半はトレーナーの方々間でも質疑応答をしながら、非常に中身の濃い討議が展開されました。学習目標の設定や授業内での突き上げといった教室活動へのOPIの応用の提案も非常に参考になりました。

 今回、地域を越えて、OPIのトレーナーとテスターの方々のみならず、テスターの卵やOPIに興味を持つ方も共に会することによって、このシンポジウムはOPIネットワーク作りの場となったと言えるでしょう。また今までの研修会などでテーマとされていたことでも新鮮な眼で再確認したり、それから発展させて新しい疑問を討議をすることができ、参加者一人一人が、教える現場やOPIインタビューに加える新しいエッセンスを持ち帰ることができたシンポジウムであったと確信しています。

 参加者の申し込みなどの事務手続きに始まり、2日間の内容豊かなOPIの勉強スケジュールに加えて、1日目のスコッチ・ウイスキーの試飲会や雰囲気の満点の夕食会、そして3日目のハイランドへの日帰り旅行を企画、調整、準備してくださったエディンバラ大学の松本・スタートさん、黒川さん、笹森さんに心より感謝いたします。