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ソウルOPI国際シンポジウムの報告2

研究発表に関する報告

レポーター 金庭 久美子

 シンポジウム第2日目は、日本と韓国の会員による7つの研究発表が行われた。このシンポジウムでは韓国スタイルで指定討論者が決められており、各発表の後、まず討論者から質問があった。その後、会場の参加者からの質問の時間が設けられた。

 午前の部の1番目は、日本語OPIの深谷久美子氏による『ACTFL-OPIにおける質問の分析−上級−』であった。研究はインタビューの「話題」とその「質問内容」を2つの方法で試みられた。一つは、テスターの各質問内容の抽象度(易しいものから難しいもの)を「0〜3」の4つのレベルに分類し、インタビューを時系列に「蛇の目スコープ」で示した。二つめはインタビューの話題の出所をテスターと被験者の談話の流れを通して分析したフローチャートである。その結果、抽象度を測りながら質問をスパイラルに行っていること、いいサンプルを引き出すための効果的な質問の仕方を意識的にする必要があること、被験者の発話を利用したリサイクル質問が有効であることなどがわかったとしている。

 2番目は関西OPIの駒井裕子氏による『日本語母語話者のOPI−より明確な超級判定のために−』であった。10代〜40代の日本語母語話者の発話データをもとに、1)正確さ、2)場面・話題、3)テキストの型、4)総合的タスク・機能の4つの観点から評価した。特に、3)と4)の2点において、20代前半までの母語話者の中には、複段落が困難な者、裏付けのある意見や待遇表現が十分にできない者がいることがわかったという。討論者より裏付けのある意見を述べさせるための突き上げ方、待遇表現の場面設定方法等について指摘があり、午後の全体討議の時間でも再び超級判定について活発に意見が交わされた。

 3番目と4番目はOPIの授業への活用法である。日本語OPIの荻原稚佳子氏の『中級話者への会話教育の指針−OPIレベル別特徴−』では、中級話者の会話指導に際し、準段落から段落にし、誰にでも聞きやすい話者にするために、テーマの統一、内容の充実等を求め、時系列的展開で話させる、フィラーの使用や聞き返しのストラテジーを促すこと等が必要であるとしている。また、日本語OPIの伊藤とく美氏の『OPIを授業にどう活かすか−目標と評価−』では、まとまった話にするための具体的な質問の仕方、スピーチの指導法などについて映像や音声とともに実例が示された。

 午後の部は、まず韓国OPIグループ(稲熊・呉・菊竹・斉藤・櫻井)が、和語を中心とした『韓国人日本語学習者の使用語彙の分析』について発表した。和語は日本語能力試験の4級の語彙が一番多く使用されるが、特に中級上以上で、2、3級の和語が増え、また、上級以上は副詞の占める割合が大きくなるということである。

 次は関西OPIの清水昭子氏の『ケド文の習得−韓国語母語話者の場合−』であった。ケド文の習得順序について5名を対象に4学期にわたり縦断調査したところ、ケド文は初級上から表れ、レベルが上がるにしたがい、聞き手への配慮として現れる前置きや挿入などが多く使用され、同一発話内でのケド文の重複が見られるようになったということである。

 最後は、韓国OPIの奥山洋子氏による『1年間の留学前後のロールプレイにおける変化』で、留学前と留学後の親密体における終助詞の種類と頻度の変化を見た。その結果、留学経験者はどのレベルの学習者も終助詞の種類と数を増やしていることがわかり、今後の終助詞の指導について提案があった。

 どの発表も日本語教育に携わる者にとって興味深い内容で、大変有意義な研究発表会であった。今後OPIのインタビューや会話教育に応用していきたい。