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ソウルOPI国際シンポジウムの報告3

トレーナーセッションの報告

レポーター 有澤 田鶴子

 第1日目、午後のトレーナーセッションでは、3人のトレーナーからそれぞれ興味深い内容の発表がなされた。紙面の都合ですべてをお伝えできないのが残念であるが、最終の質疑応答まで、熱い熱気に包まれたあっという間の1時間半であった。

 第1番目の鎌田修氏は「韓国人テスターによるOPIについて」と題して、非母語話者のテスターに焦点を当てた。非母語話者がテスターになるにはかなりードルが高いことが予想され、まだその数は多くない。非母語話者がOPIを行うに当たってどんな問題点があるか、また利点があるか、またOPIを始めた背景や取得後の状況なども含めてアンケート調査を行うことによって、その現状を明らかにしようと試みた。シンポジウムではアンケート調査(今のところ、非母語話者テスターの中で韓国人テスターの占める割合が大きく、この調査も韓国人テスターのみからの回答となっている。)の結果を紹介、これらを調査することで、非母語話者テスターの増加を望むとともに、OPIの質のさらなる向上を目指している。我々のチェックしている日本語表現とは何なのか、ネイティブスピーカーとは何なのか、という問いかけがなされた一方、同氏は日本語教育におけるノンネイティブの可能性に期待を寄せている。

 次に齋藤真理子氏は「レベルチェックの重要性−中級の質問−」というタイトルで、レベル抽出のポイントを、そして中級に焦点を当て、どのようにすればレベルチェックがうまくいくのかを具体的に示した。まず各レベルでできることを抽出するための代表的な質問を提示、つぎにunratableと判定される主な理由を、抽出法、構成、レベル判定の信頼性の3つの観点から詳しく説明。また、中級下の抽出がなされているインタビュー会話を、3つに分け、ウォームアップ部分ではレベルチェックを十分に行うこと、中盤部分では話題を変えるときには元のレベルに戻しレベルを確認すること、終結部では安定して話せるレベルに戻して気持ちよく終わることなど注意点を挙げている。中級レベルでよく取り上げられる話題、中級レベルのインタビューで要求される連続した質問例も示され、最後に、下のレベルで十分に発話を抽出するために、Yes/No質問の効用、相手の答えを繰り返す、共感を示す「ね」、しっかりと待つ、あいづちを打つ、などの具体的な手法が紹介された。

 ラストの山内博之氏は、「突き上げのコツ−上級と超級の質問−」と題して、突き上げの方法、またどのようにすればその能力がつくのかを具体的に示した。まず上級、超級の機能と質問の型を結びつけることを文例を示して提示。テスターが反論する時も根拠を述べることが大切で、これはテスターも超級的に話すことが要求されている。突き上げを厳しくするコツとして、機能だけでなく話題に気を配ることが挙げられている。上級への突き上げは話題の「詳細性」を、超級への突き上げは話題の「抽象性」「一般性」を高めることで、それぞれ難易度を変えた2種類の質問が具体的に示された。OPIは動的なものであり、突き上げをする能力とは状況に応じて瞬時に適切な質問をする能力であると定義。この中で、氏は「予定力、誘導力」という能力を提案している。これはひとつの話題でどれくらいの(突き上げの)質問の文が浮かぶかといった能力で、日頃からこれを磨いておくことが突き上げをうまく行えるようになることにつながるとしている。