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ソウルOPI国際シンポジウムの報告4

全体討議報告

レポーター 狩谷 洋子

 シンポジウム第2日目の午後、研究発表に続いて全体討議が行われ、参加者からの質問に対し、3人のトレーナーが回答した。質問は、超級に関するものが多く、フォーマル・インフォーマルについて、裏付けのある意見の抽出、それに伴い、文化能力をどう捉えるか、などであった。

 まず、フォーマル・インフォーマルについては、はっきりと表れていなくても超級とみなされるか、又は会話の中でフォーマルが出ていればロールプレイ(RP)で確かめなくてもよいか、との質問に対しては、マニュアルに超級話者は敬語ができると記載されている(齊藤氏)、会話の中で出ていたとしてもRPで確かめる必要がある(山内氏)、との回答。そのマニュアル記載について、マニュアルに記載されていない部分での解釈、つまり日本語OPIの場合、違ったスピーチレベルの話し方ができればいいというのではなく尊敬語・謙譲語が使えなければいけないということを共通認識として明確にしてほしい、との質問に対し、マニュアルは汎言語的に使えるものだから個別のものに関しては記載されないが、これは今後の課題であろうとの回答であった。

 次に裏付けのある意見の抽出についてであるが、回りくどい言い方のため結果的に論点がぼやけてしまった場合の判断、被験者が関心、興味がない、或いは深く考えないタイプで簡単な意見しか言えない場合の判定についての質問には、その場合は超級とは言えないとの回答。被験者の十八番にならない程度での関心のある話題で話させること(齊藤氏)、スパイラルに突き上げることの大切さ(山内氏)が指摘された。又、回りくどい言い方についてはタスクが遂行できたかどうかが問題であり、回りくどいために論点がぼやけ趣旨が曖昧になれば当然レベルは下がる(鎌田氏)。

 一方、文化能力については、実は一般的日本人は意見を述べる際、回りくどい言い方をするし依頼する際はっきりとは頼まないのではないか。更に謝る場面のRPでタスクは遂行できたが失礼だという場合の判定はどうするのかという質問に対し次のような回答があった。基本的にはOPIにおいては文化能力は排除されているが、RPで謝る場面で失礼な印象を与えた場合、社会言語的正確さから判断しあまりに失礼なものは別として、それが失礼かどうかの判断は日本人同士であっても印象には個人差があるので難しい問題である(山内氏、齊藤氏)。文化能力には異文化共生と、異文化同化という二通りの考え方がある。ステレオタイプ的なイメージを持つことがいいのかどうか。又、かなりの研究をしない限り文化の基準を作るのは難しい(鎌田氏)。

 このほか、OPIの信憑性について、又OPIのための訓練は可能か、という質問に対して、OPIは話題が設定されているわけではないから訓練はできない。評価についてはアナログ的評価であり点数評価でないからある程度のずれが生ずる可能性はある(鎌田氏)。「レベルを決める決定的要素とは」の質問に対し、そのレベルで必要不可欠なものができているかどうかが決め手(齊藤氏)、タスク遂行と正確さに気をつけると共に細部を見つつ全体像を把握することがポイント(山内氏)、そして、レベル決定の際に葛藤は付き物との回答。このように超級インタビューの際すぐに役立つような実践的な討議が繰り広げられた。

 最後に鎌田氏より、来年、プリンストンで行われるシンポジウムの紹介、そして、再来年の会場の候補地として函館が提案され、2日間にわたるソウルOPI国際シンポジウムのプログラムを終了した。