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第6回OPI国際シンポジウム:京都

参加者の感想

萩原 幸司、高橋 薫、鳥飼福子

◆牧野成一トレーナーが総括の際、OPIには多様な活用の仕方があって良いのではないかとおっしゃっていたが、ヨーロッパにも今後、ヨーロッパなりのOPI活用法が確立されるべきだと感じた。また、牧野トレーナーは、将来的にコンピューターによるインタラクティブな評価法も視座に入れ、レベル別語彙の研究といった基礎研究も必要だとの見解を述べられた。このことは今回の各会場での研究発表の傾向とも重なり興味深く思われた。

(萩原幸司)

◆今回の京都シンポジウムは、縁あって運営委員会の立ち上げの頃からお手伝いさせていただきました。シンポジウムでは、プロフィシエンシーをテーマに活発な討議がおこなわれたパネルディスカッションをはじめ、第二言語教育に関わる数々の研究発表、そして、日本語・英語OPIのファミリアライゼーションの同時開催やリフレッシャー・ワークショップなど、初の試みもみられました。CEFRなど様々な言語評価基準の興隆でOPIも過渡期を迎えているこの時期に、日本国内のOPI研究会のみならず、海外の研究会とも連携して大規模なシンポジウムを成功裏に終えることができたことは、とても意義深く、感慨もひとしおです。

(高橋薫)

◆8月18日の京都は煮えたぎるような暑さ。その中を会場のキャンパスプラザには続々と参加者が集まり、メイン会場に入りきれない人のために第2会場まで設置されるという盛況ぶりだった。2日間参加してみて、プログラムの内容や会場の雰囲気などに今までとはちょっと違う新鮮なものを感じた。その中でいくつか印象に残ったことについて述べてみたい。

 まず鳥飼玖美子氏による基調講演である。「話し手と聞き手が(質問をし、それに答えるという)直線的に結ばれる(面接試験の)ような関係で得られた判定が、果たして真のコミュニケーション能力を反映していると言えるのか」と、広く第二言語あるいは外国語でのコミュニケーション能力の測定の限界について述べられたのであるが、これはOPIについての問題提起でもあろう。「ロールプレイで様々なコミュニケーションの場を再現するという工夫をしても、結局は一対一で面接試験を受けるという特殊なタスクの一部であり、被験者にとっては現実の自然なコミュニケーションの場ではないのだ」ということを改めて考えさせられた。

  パネルディスカッションでは山内博之氏の提言の一つが意表をついた。「現行のごく少数のトレーナーによる寡占状態を改善し、任期制を設けるなどしてより多くのテスターにトレーナーとしての経験を積ませるべきではないか」というもの。テスターやテスター志願者にとってトレーナーは権威の象徴でいわば雲の上の存在。トレーナー自らずいぶん思い切った発言をされたものだが、そう言われればそうだ、と内心密かにうなずいた人も多いのではないか。

  かつて実用英語(いわゆる英会話)教育に携わったこともある私にとって、英語によるOPIのデモンストレーションは見逃せなかった。見学したのは1回目のデモ。日本語に比べかなりシンプルにことが進んでいくような印象を受けた。まず自己紹介をさせたこと、質問にしてもあれこれ話題を変えず好きなようにどんどんしゃべらせたことなど。ロールプレイは割愛。とても流暢に話せる被験者だったが、それでも後半になると明らかに break down があり、ceilingが見えたと思った。「上−下」か「上−中」と自分なりに判定したところ、英語試験官のレイティングは「上−中」。OPIの流れを客観的に新鮮な思いで観察する機会を得、日本語で実践してきたことが当然のことながら英語OPIでも同じように通じることを実感できたのは大きな収穫だった。

  そのほかに、かねてから噂だけでとても気になっていた「Kanji Kreativ 2.0 e-Learning」。山田ボヒネック頼子氏によるデモンストレーションの時間が急遽設けられ、ようやく「280原子」の実物にお目にかかることができた。漢字を文字としてではなく交通信号のように意味をもった記号としてインプットして「漢字脳」を作る、という趣旨は納得。しかし母語(この場合はドイツ語)で意味を理解させるのはいいが、それを読み方や書き方の指導へどのようにつないでいくのか、時間がなくて詳しいお話が聞けなかったのが残念である

 準備期間が十分でなく主催者側のご苦労は大変だったであろうに、ふたを開けてみるととても充実した内容のシンポジウムであった。京都という地の利に加えて(会場がJR京都駅から徒歩数分というのもよかった)、今回は「第二言語教育」をテーマにかかげ、基調講演やパネルディスカッションなどに英語教育関係者からの多彩な発言を盛り込んだことで、より多くの人の関心を引きつけ、より開かれたシンポジウムになったと思う。運営に当たられた関西OPI研究会の底力と、OPI研究会の風通しのよさを改めて感じた2日間であった。

(鳥飼福子)