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第6回OPI国際シンポジウム:京都

パネルディスカッションII: 日本語教育におけるプロフィシェンシー

司会/報告:嶋田和子(イーストウエスト日本語学校)

川上郁雄(早稲田大学)「“移動する子どもたち”と JSL バンドスケール」
金田泰明(国際交流基金)「日本語能力試験とプロフィシェンシー」
北条尚子(JETRO)「JETRO ビジネス日本語能力テストとプロフィシェンシー」
山内博之(実践女子大学)「ACTFL-OPI の弱点・問題点」

 第2パネルでは、日本語教育ではプロフィシェンシーをどう捉えればよいのか、教育現場ではカリキュラムにどう活かしていけばよいのかに焦点を当てて議論が進められた。

  国際交流基金の金田氏からは、日本語能力試験(JLPT)の現状、2009年に予定されている改定作業の構成概念、JLPTとOPIとの相関関係について説明があった。改定の命題は「課題遂行能力とそのためのコミュニケーション能力を測る」試験とすることであり、〈can-do-statements〉の作成に向けて鋭意努力をしているという報告があった。

  JETROビジネス日本語テスト(BJT)の北条氏は、BJTは「文法や語彙の知識量ではなく、そうした知識を活用して、与えられたビジネス上の課題をいかに処理できるかという総合的な技能を測る」試験であり、プロフィシェンシー重視の試験であるという点では、他の試験と共通するものであると述べた。

  山内氏は、ACTFL-OPIの弱点・問題点として、OPIの判定の信頼性について疑問を投げかけた。信頼性を維持するには、判定能力の向上のみならず、テスターのインタビュー技術の向上、ACTFL-OPIのガイドラインそのものの検討も必要であると述べ、さらにはプロフィシェンシー研究の土壌の強化の必要性を強調した。

  川上氏は、発達過程にある子どもの言語能力の特徴として、動態性、非均質性、相互作用性という3つの特性をあげ、JSLバンドスケールの意義について説明した。「誰が、何のために評価を行うのか」「評価そのものに教師の日本語教育観が反映されている」という示唆に富んだ発表であった。

  4人のパネリストの発表終了後は、フロアと活発な意見交換がなされた。最後にOPIが今後どのような方向に行くのかを明確にする必要があるという提案がなされた。

  OPIは、学習者へのフィードバック、教師教育など教育現場でさまざまな活用法が考えられる。今後、何を知っているかといった知識の多寡に目を向けるのではなく、「日本語を使って何ができるのか」といったプロフィシェンシー重視の日本語教育をさらに進めていく必要がある。それには、今回のパネルで話し合われたことをもとに、話技能に限ることなく、Proficiency-based-Approachを考えていきたい。さまざまな試験、スタンダードなどをクリティカルに見つめ、現状に満足することなくポジティブに活動していくことが今後求められるが、そのためには協働(collaboration)が重要なキーワードとなる。本パネルディスカッションを契機に、プロフィシェンシー研究をさまざまな分野、機関との連携を図りながら進めていくことを提案し、パネルディスカッションは幕を閉じた。次の第7回OPI国際シンポジウムのパネルディスカッションに期待したい。 

(嶋田和子 記)