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第6回OPI国際シンポジウム:京都

研究口頭発表:第1会場

報告:水上 由美

 第1会場では、宇佐美まゆみ氏による招聘発表「『伝達意図の達成度』『ポライトネスの適切性』『言語行動の洗練度』から捉えるプロフィシエンシー」の他、「韓国における外国語口頭能力評価」(桜井恵子・斉藤麻子)、「コロキアルロールプレイに見られる終助詞の特徴−超上級女性の会話を中心に−」(駒井裕子)、「会話指導における女性文末詞の扱い」(水本光美・福盛壽賀子・高田恭子)、「初級学習者の名詞使用と文生成の問題」(李在鎬・佐野香織・秋澤委太郎)の4本の研究発表(敬称略、発表順)が行われた。

  宇佐美氏による「『伝達意図の達成度』『ポライトネスの適切性』『言語行動の洗練度』から捉えるプロフィシエンシー」は、談話研究からプロフィシエンシーを考えるというもので、自然会話分析に基づく新たな視点を加え、「伝達意図の達成度」「ポライトネスの適切性」「言語行動の洗練度」という3つの観点からプロフィシエンシーを捉えていく必要性を提言するものであった。プロフィシエンシーを多角的に考えるための大変有意義な機会であったと思う。

  桜井氏らによる「韓国における外国語口頭能力評価」では、韓国での外国語の口頭能力試験に対する現状が報告された。例えば日本語の口頭能力試験として、SJPT(Spoken Japanese Proficiency Test)という試験が、コンピューターを使用し、2007年3月からスタートしたことが挙げられていた。採点はACTFL-OPI資格所有者により、Multipleレイティングされるということであった。今後、口頭能力試験をどのようにコンピューター化するか、また、それらをどのように判定するかといった問題の方向性は、韓国において既にコンピューター化が始まっている現状から考えても、迅速な対応が必要だと感じた。

  駒井氏による「コロキアルロールプレイに見られる終助詞の特徴−超上級女性の会話を中心に−」、水本氏らによる「会話指導における女性文末詞の扱い」は、両発表共にインフォーマルな場面における終助詞に関するものであり、日本語母語話者の実際の終助詞使用に基づいた調査を行っていた。今後の日本語母語話者の終助詞における使用傾向の変化なども含めて興味深い問題であると思った。

 李氏らによる「初級学習者の名詞使用と文生成の問題」は、初級学習者の中間言語における名詞使用の全体像を把握することを目的に、コーパスデータの定量的・定性的分析に基づき、初級学習者の名詞使用の実態を調査したものであった。その結果として、初級学習者の口頭能力レベル間の差が示されたことは、口頭能力試験の判定がコンピューター化される場合に、レベル間の差を指し示す「マーカー」が何かという基礎的研究の必要性が、昨今言われている中、大変興味深いと思った。

(水上由美 記)